営業担当を採用する前に、社内で決める仕事と判断
求人票には「新規開拓から既存顧客のフォローまで」と書ける。けれど、採用した人が月曜日に出社したとき、最初の一件として何を渡すかは決まっていない。顧客一覧を見せても、どこまで自分で答え、何を上司へ戻すかが分からない。
この状態で採用すると、経験者でも社内ルールを推測します。未経験者は質問のたびに止まります。採用前に用意したいのは完璧な営業マニュアルより、初日に完成させる一件と、判断を戻してよい境界です。
求める人物像を、初日の仕事で検査する
「自走できる人」「コミュニケーション力がある人」は、仕事を渡す基準になりません。まず、入社初日に任せる小さな完成物を書きます。
既存顧客一社の過去メモを読み、次に連絡する理由、聞く質問、上司へ確認する項目を一枚にする。
この一件を完成させるために必要な材料が、顧客履歴、商品情報、過去見積、確認先です。どれが社内にないかを採用前に見つけられます。面接で確かめたい経験も、「法人営業三年以上」から「複数の記録から次の質問を組み立てた経験」のように、仕事場面へ近づきます。
この図で決めること採用前に最後の「戻す条件」まで書くと、任せすぎを防げる。
任せる範囲は、金額だけで切らない
営業判断は、見学、作成、担当、判断保留の四段階に分けます。
| 段階 | 任せる仕事 | 上司へ戻す条件 |
|---|---|---|
| 見る | 商談、見積、社内確認の流れを観察する | 不明語と判断点を記録する |
| 作る | 面談メモ、確認メール、見積前提を作る | 顧客へ送る前に確認する |
| 持つ | 対象を限定した既存顧客を担当する | 価格、納期、仕様変更は戻す |
| 判断保留 | 例外案件を整理して上司へ出す | 条件、影響、選択肢を添える |
「一件五十万円まで」と金額だけで切ると、安くても安全や契約へ影響する案件を単独で進める恐れがあります。価格、納期、仕様、安全、個人情報など、会社として確認が必要な条件を書いてください。
採用票と受け入れ票を、同じ日に直す
求人票には、任せたい成果、最初の三か月、確認が必要な仕事を具体的に書きます。受け入れ側には、最初の一件、見る資料、質問先、合格条件を置きます。片方だけを作ると、募集時の約束と入社後の仕事がずれます。
仕事内容の表現は一日の場面から求人原稿を書く方法、仕事そのものの切り分けは作業・確認・判断の棚卸しへ進むと具体化できます。入社後の進め方は最初の30日に作る完成物で週ごとに置きます。
採用の可否を決める前に、既存顧客一社を選び、「初日にこの人へ何を渡し、夕方に何が完成していればよいか」を書いてください。書けない部分は、候補者の能力より社内の受け入れ準備にある空欄です。