採用する仕事を、作業・確認・判断に分ける
「営業事務が忙しいから、一人採りたい」。求人を出す段階になると、仕事内容は見積作成、受発注、電話対応、資料作成と並ぶ。ところが入社後、見積の金額を決めるのは社長、納期回答は営業、例外注文はベテラン事務へ戻り、新しい人はどこまで進めてよいか分からない。
忙しい人の業務名をそのまま一職種へ移しても、仕事は渡せません。同じ「見積作成」でも、数字を入力する作業、内容を照合する確認、例外条件を決める判断があります。採用前の棚卸しは、この三つの境界を見つける仕事です。
一週間を、動詞で採る
担当者へ「どんな業務がありますか」と聞くと、受発注、顧客対応、在庫管理のような名詞が返ります。代わりに、直近一週間の予定表、メール、帳票を見ながら、実際にしたことを動詞で書きます。
- 注文メールから品番と数量を転記した
- 在庫表と照合し、欠品を営業へ戻した
- 特注品の納期を仕入先へ確認した
- 値引き条件を社長へ聞いた
- 顧客へ回答し、次の確認日を残した
この粒度なら、時間、頻度、使う資料、確認相手を後から付けられます。「顧客対応」のままでは、電話を取る仕事と、契約条件を決める仕事が同じ箱に入ります。
この図で決めること判断だけが社長に残る仕事は、採用後も社長待ちになる。
三つの責任を一行で切る
| 実際の仕事 | 作業 | 確認 | 判断 |
|---|---|---|---|
| 定番品の見積 | 単価表から入力 | 品番、数量、期限を照合 | 例外値引きは営業責任者 |
| 納期回答 | 在庫・仕入回答を記入 | 工事日と合うか確認 | 分納可否は担当営業 |
| 問い合わせ受付 | 内容と回答時刻を返す | 技術質問か分類 | 安全・契約は責任者へ |
一人が三列すべてを担う必要はありません。作業と確認を採用する人へ渡し、判断は当面既存担当へ残す設計もできます。その場合は、何が起きたら誰へ戻すかを求人原稿と受け入れ票へ書きます。
一職種へまとめる条件
作業を同じ職種へ入れるかは、忙しい担当者が同じかで決めません。次の四点が近い仕事をまとめます。
- 使う材料やシステムが近い。
- 顧客や社内への影響の大きさが近い。
- 確認する相手が近い。
- 習得の順番を一続きにできる。
受発注とSNS更新を一人が行っていても、判断基準と確認先が異なるなら、同じ求人へ詰め込む理由にはなりません。逆に、問い合わせ受付と見積前の条件確認は、同じ顧客情報を読み、同じ営業へ戻すなら一続きにできます。
棚卸しの結果は、営業担当を採る前の初日業務へ渡すと、採用後の任せ方まで確認できます。外向きの表現は一日の場面から求人原稿を書く方法へ、入社後は最初の30日の完成物へつなげます。
今日の対象は、最も忙しい職種全体ではありません。昨日、社長やベテランへ質問が戻った仕事を一件選び、作業、確認、判断を三列に書いてください。採用する仕事と、まだ社内に残す責任が見えてきます。