価格改定を相談する前に、取引先へ渡す材料
原材料、労務、物流の費用が変わり、「〇月から〇%値上げします」というお願い文を作る。事情を詳しく書いても、取引先が知りたいのは、何の条件が変わり、どこまで従来どおり提供でき、いつ何を決める必要があるかです。
価格改定は、謝罪文の長さや値上げ率だけで進みません。従来条件、変わった事実、提案する選択肢、協議する相手と期限を一つの差分表へ置きます。
変わった条件を、商品単価の外まで見る
| 条件 | 従来 | 変化 | 提案する選択肢 |
|---|---|---|---|
| 価格 | 現行単価 | 材料・労務の上昇 | 単価改定 |
| 範囲 | 現地対応を含む | 移動・待機が増加 | 対応範囲を分ける |
| 頻度 | 毎月訪問 | 実施回数と人員が増加 | 頻度を比較する |
| 納期 | 標準二週間 | 調達期間が長期化 | 早期確定または納期変更 |
| 支払 | 現行条件 | 資金負担が変化 | 適用日と条件を協議 |
値上げだけを一案として出すより、提供範囲や頻度を選べる場合は同じ表で比較します。ただし、実際には維持できない条件を「選択肢」として残しません。
この図で決めることお願い文を長くする前に、どの条件を一緒に決めるかを明示する。
最初の連絡は、通知より協議の予約
現在の提供条件を継続するため、価格と対応範囲の見直しをご相談したくご連絡しました。従来条件から変わった項目と、考えられる選択肢を一枚にしています。〇月〇日までに30分ほど、適用時期と範囲を確認する機会をいただけますか。
最初から一方的な確定事項として伝えるか、契約上の変更手続きが必要かは、既存契約と取引条件を確認します。営業担当だけで適用日を約束せず、社内責任者、必要に応じて専門家へ確認してください。
協議後は、合意と未合意を分ける
合意:対象品Aの価格、10月1日受注分から適用。 未合意:休日対応費。9月5日までに実績と選択肢を再提示。 当社の約束:改定後見積と対象一覧を8月28日までに送付。 次回:9月6日、未合意項目を確認。
「概ね了承」とまとめると、発注時に条件がぶつかります。価格、範囲、適用日を項目ごとに残します。
公正取引委員会は、労務費の適切な転嫁に向け、発注者・受注者が採るべき行動を指針として示しています。個別取引の契約判断は、最新の指針、契約、適用法令を確認してください。
見積の前提が曖昧な場合は見積受付で空欄を出す方法、改定後の見積を追う場合は未決定事項から再連絡を作る方法へつなぎます。相手の社内説明には判断・根拠・条件・未確定を置く一枚を使えます。
参考資料
お願い文を書く前に、主要な一取引について従来、変化、提案、協議事項を一行ずつ埋めてください。値上げ率だけが変化欄にあるなら、取引先が判断する材料がまだ足りません。