過去の見積を、もう一度営業に活かすには
過去に出した見積が、共有フォルダや担当者の受信箱に残っている。件数は分かっていても、今連絡する相手を選べない。すべての相手に「その後いかがですか」と送れば、相手にも社内にも説明しにくい連絡が増えます。
過去の見積を営業に活かすときは、古い案件を一斉に追いかけません。前回の相談内容、前回から変わった条件、こちらが用意できる材料の三つを比べ、連絡する理由を一つ言える見積を選びます。営業のきっかけとして使い直す作業は、文面を書く前の選別から始まります。
過去の見積を、三つの条件で選ぶ
営業に活かせる過去の見積には、次の三つがそろっています。
| 条件 | 確認すること | 欠けているときの扱い |
|---|---|---|
| 前回の相談 | 何を直したくて、どの条件で見積を出したか | 見積金額だけ残り、相談の背景が分からないなら保留 |
| 現在の変化 | 時期、仕様、体制、予算、優先順位のどれが変わったか | 変化が見えないなら、連絡理由を作らず保留 |
| こちらの材料 | 条件の比較、確認資料、別案など何を返せるか | 相手へ聞くだけになりそうなら、先に社内で材料を作る |
「古いから連絡する」は理由になりません。前回から変わった点が一つ見え、その点を確かめる質問を置けるものから選びます。
掘り起こし判定表を先に埋める
最初から文面を作らず、過去の見積を一件ずつ表に書き出します。顧客名や個人名は必要以上に書かず、社内で照合できる案件番号や短い呼び名で管理します。
| 列 | 書く内容 | 記入例 |
|---|---|---|
| 前回の条件 | 見積の対象、数量、仕様、希望時期 | 標準仕様の設備更新、納期は要確認 |
| 前回の停止点 | 相手が決められなかったこと | 社内で予算時期を確認するところで停止 |
| 現在の変化 | 今なら比べられる条件 | 希望時期が近づき、代替仕様も確認できる |
| 連絡理由 | 今、こちらから連絡する一文 | 前回条件と現在の納期候補を照合したい |
| 最初の質問 | 返事によって次の仕事が変わる質問 | 今も更新時期の確認が必要でしょうか |
| 返事の後 | 続ける、材料を返す、止めるの判断 | 条件確認、資料送付、今回は連絡停止 |
表の「連絡理由」が書けない案件は、再連絡の候補にしません。前回の見積金額を再送するだけでは、今の相手に何を確認したいのか伝わらないためです。
連絡理由は、三つの材料から作る
連絡文面に入れるのは、前回の相談、今回の変化、相手に聞く一つの質問です。売り込みの理由を足すより、前回から何が変わったかを短く示します。
以前ご相談いただいた設備更新の見積について、当時の条件と現在の納期候補を比べられる材料がそろいました。今も更新を検討されていましたら、いま最も重視されている条件を一つ教えていただけますか。時期が合わなければ、その旨だけお知らせください。
この文面で必要なのは、当時の見積を正確に再現すること、現在の変化を一つに絞ること、答えやすい質問を置くことです。新しい価格、納期、仕様を確定していないなら、確定したように書きません。
記入例から、次の仕事を決める
| 前回の相談 | 現在の変化 | 連絡理由 | 最初の一問 | 次の仕事 |
|---|---|---|---|---|
| 設備更新の条件を比較していた | 更新時期が近づき、別仕様も確認できる | 前回条件と現在の選択肢を照合したい | 今も更新時期を確認していますか | 条件を一つ聞き、比較表を作る |
| 採用に合わせた業務用機器の見積を出した | 配置する担当と時期が変わった | 使う人数と時期を見直したい | 現在の開始時期は決まっていますか | 必要数量を確認して再見積へ戻す |
| 予算の都合で保留になった | 社内で再検討する時期が近い | 前回の保留条件を確認したい | 再検討時に必要な材料は何ですか | 材料を一つ返し、判断日を記録する |
返事の後まで決めてから連絡する
連絡してから次を考えると、返事が来た案件が、また担当者だけが抱える状態に戻ります。送る前に、返事ごとの扱いを決めます。
| 返事 | 次にすること | 記録する日 |
|---|---|---|
| 今も検討中 | 条件を一つ聞き、確認材料と次回日を返す | 回答を返す日 |
| 時期が先 | 再検討する月と、こちらから確認する日を決める | 再連絡の前日 |
| 条件が変わった | 旧見積をそのまま使わず、変わった項目を照合する | 照合を終える日 |
| 今回は不要 | 理由を推測せず、連絡停止または再開条件だけ残す | 判断した日 |
| 返事がない | 社内の連絡上限に従い、追うか止めるか決める | 最終連絡日 |
条件、価格、納期、仕様のどれかが現在と合わない場合は、過去の見積の再送へ進めません。社内で確認してから、再見積、資料送付、連絡停止のどの扱いにするかを決めます。
20分で、再連絡する一件を選ぶ
- 過去の見積を五件だけ開き、前回の相談と停止点を確認する。
- 現在の変化が一つ見えるものを一件選ぶ。
- 掘り起こし判定表の六欄を埋め、連絡理由を一文にする。
- 返事が来たら、こちらが何をするかを一つ決める。
- 連絡可否、経路、文面を社内のルールと担当者へ確認する。
- 返事の後に残す日付と判断を営業記録に残す。
過去の見積は、古い順に追うリストにすると動かなくなります。前回から現在への変化があり、相手に確認する一つの質問と、返事の後の仕事が決まる一件から始めてください。過去の見積、現在の営業テーマ、社内で確認できる条件を並べれば、再連絡する候補を一緒に選べます。
過去の見積を再連絡候補の一覧へ戻すときは、連絡する理由から営業リストを作る方法も使えます。相手の社内説明に材料が足りない場合は、提案を社内で検討してもらうための一枚へ進みます。見送りや停止が確定した案件は、失注理由を次の提案へ残す方法で事実と推測を分けてください。