となりの成長室

営業KPI会議を、数字の報告で終わらせない

営業会議の議事録に、次の一行だけが残っていないでしょうか。

架電は四十件、商談は六件、受注は一件。来週は接触数を増やす。

件数は分かります。しかし、商談が少ないのか、見積後に止まったのか、接触数を増やして何を確かめるのかは残っていません。数字を一つ選び、差が生まれた工程と次の一週間で試す変更まで会議で決めます。

会議が終わる前に、次の一行を書く

会議の完成物は、報告された数字の一覧ではありません。次回までに誰が何を試し、何を見て続けるかを決める一行です。

今週は、新規見積三件で相手の判断日か再確認日を聞く。担当は各案件の営業、確認するのは営業責任者。次回会議では接触数を数えず、三件に日付が入ったかを見る。

この一行を書けないときは、見る数字が広すぎるか、原因を確かめる方法が決まっていません。全指標を同じ深さで扱わず、次の判断に最も影響する差を一つ選びます。

全指標を読む前に、一つの差を選ぶ営業KPIを次の実験へ変える目標との差を原因と決めつけず、一週間で確かめる変更と判定日までつなげます。
01実績分子と母数を同じ期間・対象でそろえる
02差分どの工程で目標から離れたかを見る
03仮説未確認の原因を一つだけ選ぶ
04次の実験担当、件数、期限、判定方法を決める

この図で決めること会議の結論を、次回までに確かめられる一つの変更にする。

最終結果から遠い数字ほど、途中を分ける

受注が目標に届かなかったとき、すぐに行動量の不足と決めると、商談の質や見積後の停滞を見落とします。受注までの流れを、少なくとも母数と次の段階へ分けます。

見る数字一緒に見る母数差が出る場所
初回返信数問い合わせ数担当決め、返信期限、連絡手段
商談数連絡した対象数対象選定、話題、日程提示
見積数商談数条件確認、技術回答、提出期限
受注数見積数比較条件、社内判断、予算時期

「受注率が低い」だけでは、最初の連絡と見積後の追い方のどちらを変えるか決まりません。率を見るときは分子と分母を同じ期間、同じ対象でそろえ、途中で母数の定義が変わっていないかも確認します。

一つの差を、六欄の会議記録へ変える

数字を増やす代わりに、一つの差を次の記録へ変えます。

会議記録の記入例
見るKPI見積提出後、次回日が入っている案件の割合
目標と実績目標10件中10件、実績10件中4件
確認できた差6件に、相手の判断日も自社の確認日もない
原因の仮説提出を完了と扱い、相手の会議日を聞いていない可能性
一週間の実験新規見積3件で、提出時に判断日か再確認日を聞く
担当と判定日営業責任者、次回会議で3件の記録を確認

ここで「聞いていないのが原因」と断定しません。まず三件で質問を追加し、相手が答えられるか、次回日が決まるかを見ます。答えにくいなら、質問の言葉か聞く時期が合っていません。

仮説を増やしすぎると、会議後に誰も動けない

一つの差には複数の原因があり得ます。だからこそ、一週間で確かめられる順に並べます。

  1. 記録の欠けか。実際には動いているが入力されていない可能性を確認する。
  2. 工程の欠けか。担当、質問、期限のどこが決まっていないかを見る。
  3. 対象のずれか。連絡先や案件条件が狙いと合っているかを比べる。
  4. 提案のずれか。相手が比較する条件と説明内容を照合する。

同じ会議で四つとも直すと、どの変更が効いたか分かりません。今週は記録、来週は質問というように、担当者が実行できる大きさへ切ります。

個別商談の記録が薄い場合は事実・判断・約束・次回日を分ける営業メモを先にそろえます。失注の数字から理由を検証するなら発言・比較条件・証拠を分ける振り返りへ進みます。会議で決めた担当と期限は顧客管理表の同じ行へ残す方法で、議事録だけに閉じ込めません。

中小企業庁が公開する経営改善計画書のサンプルには、顧客別の予実管理とフィードバック体制、定例の営業会議が具体策として示されています。自社で使うときは、会議の開催自体を目標にせず、予実の差から次に確かめる行動までを一つの記録にします。

参考資料

次の会議では、報告を始める前に、最後に残す一行の欄を議事録へ作ります。目標との差、まだ確認できていない原因、一週間で試す変更、担当、判定日まで書けたら、その会議は数字の読み上げから次の実験へ進んでいます。

まずは相談から

一つの数字から、次の一週間で試すことを決めませんか。

営業会議の資料を見ながら、差分、仮説、確認方法、担当、期限がつながる一行を作ります。