定期訪問の回数を、取引の変化から決め直す
火曜は南部、木曜は北部。ルートは10年前に決まっていて、担当が代わっても順番は変わりません。行けば必ず誰かに会えるし、雑談もできる。それでも受注は増えず、しばらく訪問していなかった取引先が他社へ切り替わったと後で聞きます。
訪問頻度の問題は、回数の多さ少なさではありません。回数を決めた根拠が、地理と過去の担当区分のまま止まっていることです。
訪問先を、四つの状態へ分ける
同じ「既存客」でも、いま訪問が効く相手と、効かない相手があります。分ける軸は取引額の大きさよりも、変化の有無です。
| 状態 | 見分ける材料 | 訪問の扱い |
|---|---|---|
| 変化が起きている | 発注量の増減、担当者の交代、設備や拠点の変更、新しい取り扱い品 | 頻度を上げる。変化の内容を聞く訪問にする |
| 判断の時期が近い | 予算期、更新時期、契約更新月、繁忙期の前 | 時期に合わせて訪問を寄せる。平常月は減らす |
| 安定している | 発注が一定、担当も変わらず、こちらへの相談もない | 頻度を下げ、電話や連絡で足りるか試す |
| 反応が薄い | 訪問しても要件が生まれない、決裁者に会えない状態が続く | 訪問を止める判断も含めて、条件を決める |
四つ目を放置すると、移動時間だけが積み上がります。止める判断を避けたまま「一応回っておく」と、変化が起きている先へ行く時間が消えます。
この図で決めること訪問数の上位と、要件が生まれた訪問の上位を並べて比べる。
訪問記録から、要件が生まれた回数を数える
訪問の価値は、滞在時間や訪問件数では測れません。その訪問から次の動きが生まれたかどうかで見ます。
訪問の棚卸し(2026年5月〜7月・担当1名分) 総訪問数: 96件。移動時間の合計はおよそ72時間。 要件が生まれた訪問: 21件(見積依頼7、仕様相談5、不具合や要望の受付6、紹介3)。 要件が生まれなかった訪問: 75件。うち32件は同じ8社への繰り返し訪問。 訪問していない取引先: 14社。うち3社は前年同期より発注が減っている。 移動が長い先: 片道70分の2社。3か月で12回訪問し、要件が生まれたのは1回。
「同じ8社へ32回」と「発注が減っている3社へ0回」が並ぶと、次の1か月で何を入れ替えるかが決まります。訪問件数を減らす話にはならず、行き先を入れ替える話になります。
減らす先には、代わりの接点を置いてから減らす
訪問を減らすと、相手には「来なくなった」とだけ伝わります。減らす前に、別の接点を先に作ります。
- 発注のタイミングに合わせた電話を、訪問の代わりに月1回入れる
- 納品後の確認を、営業以外に配送や現場から短く戻す
- 相手の繁忙期の前だけ訪問し、その回で複数の要件をまとめて聞く
- 何かあったときの連絡先を、担当個人から会社の窓口へ渡し直す
減らす連絡は、訪問の最後に口頭で伝えるのが向いています。「これからは、御社の予算期の前と、納品の翌週にお伺いします。その間は電話でご用件を受けます」と具体的な形で伝えると、疎遠になった印象が残りません。
増やす先は、聞くことを決めてから行く
頻度を上げる先へ、要件なしで通っても回数が増えるだけです。訪問の前に、その回で聞くことを一つ決めます。
| 相手の変化 | その回で聞くこと |
|---|---|
| 発注量が減った | 減った分がどこへ行ったか。内製化か、他社か、需要そのものの減少か |
| 担当者が代わった | 前任者と決めていた運用のうち、続ける条件と変える条件 |
| 設備や拠点が変わった | 新しい条件で足りていない仕様、納品先や時間帯の変更 |
| 相談が増えている | 相手の社内で誰が判断するか、いつまでに決める必要があるか |
利用状況の変化からフォロー相手を選ぶ手順は既存顧客の利用変化から対象を選ぶ、連絡の時期を取引の節目に合わせる方法は既存顧客のフォロー時期を決めるにあります。訪問後に次の動きが残る記録の書き方は営業メモを次回フォローに使う形へ変えるを併せて見てください。
直近3か月の訪問記録を開いてください。訪問数の上位5社と、要件が生まれた訪問の上位5社が一致していないなら、次の1か月は行き先を入れ替える段階です。