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紹介をお願いするとき、紹介元へ渡しておくもの

「誰かいい会社があったら紹介してください」。商談の最後にそう言って、そのまま何も起きない。相手も悪気があるわけではなく、いざ誰かに会ったとき、こちらの会社を思い出す材料がないだけです。

紹介は、頼み方の丁寧さより、相手が思い出せるかどうかで決まります。紹介元が誰かと話しているその場で「そういえば、こういう会社があった」と出てくるには、覚えやすい一言と、そのまま転送できる一枚が要ります。

ここで扱うのは、紹介をお願いする前に用意するもの、頼む相手の選び方、紹介を受けたあとの連絡の順番です。紹介制度や謝礼の設計ではなく、明日お願いできる形に絞ります。

紹介が増えないのは、相手が説明できないから

紹介元の立場になると分かります。誰かに紹介するとき、相手は自分の信用を貸しています。中小機構のJ-Net21でも、紹介営業は「紹介してくれる人の信用を借りて商売している」ものとして、成否にかかわらず紹介者へのお礼を欠かさないよう促しています。

その信用を貸す相手を選ぶとき、紹介元が確認したいのはこの3つです。

  • どんな会社に向いているのか
  • 何をしてくれるのか、いくらぐらいかかるのか
  • 紹介したあと、自分に迷惑がかからないか

「何でもやります」「幅広く対応します」と伝えていると、この3つが埋まりません。紹介元は、迷った末に紹介を保留します。

紹介元へ渡す4点

渡すもの中身よくない例
向いている相手業種、規模、今どんな状態で止まっているか「中小企業ならどこでも」
してあげられること最初に何をするか、どこまでやるか「総合的にサポートします」
費用と期間の目安初回の相談は無料か、最小の依頼はいくらぐらいか「案件によります」だけで終える
渡し方転送できる短い紹介文、会社ページのURL、名刺分厚い会社案内PDFだけ

紹介元がそのまま転送できる短文を、こちらで用意しておきます。3行から5行で十分です。

◯◯という会社です。過去の見積や名刺が溜まっていて営業に手が回らない、という会社の相談を受けています。まず現状を見て、翌月に送る相手と文面を作るところまで一緒にやるそうです。よければ担当を紹介します。

自分の会社の説明を、紹介元の言葉で書くのがコツです。自社サイトのキャッチコピーをそのまま渡しても、相手は口に出しません。

頼む相手を決める

全員に同じお願いをすると、誰からも動きが出ません。次の条件に当てはまる相手から順に頼みます。

見るもの頼みやすい相手頼む前に整えること
直近の仕事納品や対応が終わって、結果が見えている相手対応の区切りで結果を共有しておく
相手の人脈同業のつながり、業界団体、取引先が多い相手どの範囲の会社と接点があるか聞いておく
会話の頻度定期的に連絡が取れている相手しばらく空いているなら先に近況の連絡
過去の紹介一度紹介してくれたことがある相手前回の結果とお礼を伝えてから

長く連絡が空いている相手にいきなり紹介を頼むと、用件だけの連絡になります。まず状況確認から入る場合は、休眠顧客への再連絡を、押し売りにしない始め方の順番が使えます。既存顧客との関係の中で紹介を位置づけるなら、既存顧客への追加提案や定期フォローが止まるときも近い入口です。

頼み方の一通

紹介依頼は、単独のメールで送るより、対応の区切りや近況連絡に添える方が自然です。

先日の件、無事に区切りがついてほっとしています。ありがとうございました。

ひとつお願いがあります。いま、◯◯で止まっている会社の相談を受けています。もし周りに、△△のような状態の会社がありましたら、下の紹介文をそのまま転送していただけると助かります。

(転送用の短文)

すぐに思い当たる先がなければ、まったく気にしないでください。次に何か出てきたときに思い出していただければ十分です。

「思い当たらなければ気にしないでください」を入れておくと、相手は断りやすくなります。断りやすい頼み方の方が、次に何かあったとき連絡が来ます。

連絡先を教えてもらうときは、順番に気をつける

紹介先の担当者の氏名や連絡先を、紹介元からそのまま受け取ることがあります。ここは相手にも自社にも関係する部分なので、順番を守ります。

個人情報保護委員会のガイドラインでは、個人データを第三者へ提供する場合、原則としてあらかじめ本人の同意を得る必要があるとされています。紹介元が、先方の担当者の氏名や連絡先をこちらへ渡す行為も、状況によってはこの第三者提供にあたります。

実務では、次の順番が無難です。

  1. 紹介元から先方へ、こちらを紹介してよいか一声かけてもらう
  2. 先方が了承したら、紹介元がこちらと先方をメールなどでつなぐ
  3. つないでもらった後、こちらから先方へ連絡する

紹介元に負担をかけずに進めたい場合でも、「先に一言だけ入れてもらえますか」と頼む方が、結果として話が早くなります。先方にとっても、知らない会社から突然連絡が来る状態を避けられます。

受け取った連絡先や名刺の管理も、その後の扱いが問題になります。集めた接点をどう整理するかは、名刺交換や問い合わせを、営業リストに変えるにはにまとめています。

紹介を受けたあとの3つの連絡

紹介は、つないでもらった時点で終わりではありません。次の3回の連絡で、紹介元の信用が守られます。

タイミング誰へ伝えること
つないでもらった直後紹介元お礼と、いつ連絡するか
初回の面談後紹介元話した範囲と、進みそうかどうか。先方の内部事情は伝えない
結果が出たとき紹介元受注、保留、見送りのいずれでも結果とお礼

見送りになったときこそ連絡します。結果を伝えない相手には、次の紹介が来ません。

先方へ伝える内容にも注意が必要です。紹介元から聞いた事情を、初回の連絡でそのまま並べると、先方は「自分の話が筒抜けだ」と感じます。聞いている前提は最小限にとどめ、先方本人に確認します。初回連絡の組み立ては、問い合わせ後の初回返信を、商談につなげるにはと同じ考え方で進められます。

紹介を頼まない方がよい場面

  • 直近の納品や対応で問題が残っている(先に解決する)
  • 相手の会社が繁忙期、決算期、組織変更の最中
  • こちらの受け入れ余力がなく、紹介されても対応できない
  • 紹介先が、紹介元の競合にあたる可能性がある

最後の点は見落としやすい部分です。紹介を頼む前に、紹介元にとって不都合な相手が含まれていないか、範囲を確認しておきます。

よくある質問

謝礼や紹介料は用意した方がよいですか

金銭を伴う紹介は、相手の社内規程や業種ごとの規制に触れる場合があります。まずは謝礼なしで、結果の共有とお礼を丁寧にする形から始め、制度化する場合は契約と社内規程を確認してください。

紹介をお願いするタイミングはいつがよいですか

納品や対応が終わって結果が見えた直後が頼みやすい時期です。契約直後や、こちらから何かをお願いした直後は避けます。

紹介してもらった相手が、すぐに検討できない状態でした

紹介元へは「今は時期ではないが、話は聞けた」と伝え、先方には次の連絡時期を確認して終えます。急いで提案へ進めると、紹介元にも気まずさが残ります。

紹介が来ても、うちの対応範囲と合わないことが多いです

向いている相手の条件が伝わっていない可能性があります。断った案件を3件並べ、どこが合わなかったかを紹介文へ反映します。

まず3社へ頼む

今日から始めるなら、直近で対応が終わった取引先を3社選びます。転送用の短文を1つ作り、近況連絡に添えて送ります。3社の反応を見てから、向いている相手の書き方を直します。

参考資料

個別の取引や個人情報の取扱いについての判断は、契約内容と自社の運用に応じて、個人情報保護委員会の資料や専門家へ確認してください。

紹介で仕事が来ているのに増やせていないなら、直近で対応が終わった3社を選び、紹介元へ渡す短文、頼む順番、紹介後の連絡の型を一緒に作れます。

まずは相談から

営業の次の一手を、一緒に決めませんか。

資料が全部そろっていなくても大丈夫です。いま手元にあるものから話せます。今月動かせる相手と、送る言葉まで、一緒に決めましょう。