注文書と見積が食い違うとき、着手前に止める確認
受注の電話をもらい、翌日にPDFの注文書が届く。金額が合っているので押印して返し、そのまま手配へ回す。数量欄の単位が「式」から「個」に変わっていたと気づくのは、納品書を作る段になってからです。
注文書の食い違いは、悪意で起きるわけではありません。見積を作った担当者と、注文書を発行する購買の担当者が別だからです。転記の途中で、条件が一つずつ落ちます。
差が出やすいのは、金額以外の四項目
合計金額は必ず見ます。揉めるのは、金額が合っていて中身が違う場合です。
| 項目 | よくあるずれ方 | 気づかず進めたときの負担 |
|---|---|---|
| 数量と単位 | 「一式」が「1個」に、10セットが10本になる | 納品時に不足が出て、追加分を無償で入れる形になる |
| 仕様と型番 | 見積時の型番が旧品番のまま、または類似品へ変わる | 手配済み在庫が使えず、返品費用と納期遅延が同時に出る |
| 納期 | 見積の「受注後12営業日」が暦日で解釈される | 遅延扱いになり、次回から納期短縮を求められる |
| 支払条件 | 見積の「月末締め翌月末払い」が翌々月払いへ変わる | 入金が1か月ずれ、資金繰りの計画が崩れる |
四項目のうち、数量と仕様は着手前に止めれば損失がありません。納期と支払条件は、着手後に気づいても交渉が難しくなります。押印の前に見る順番は、支払条件、納期、仕様、数量の逆順が向いています。
この図で決めること行単位で着手可否を分ければ、確認待ちでも全体は止まらない。
照合は、見積の行番号を軸にする
注文書と見積を並べて読み比べると、目が滑ります。見積側の行番号を軸に、注文書のどこに対応するかを機械的に埋めます。
注文書照合メモ(見積番号 Q-2026-0418) 見積1行目: 標準品A 200個 単価480円 → 注文書1行目 200個 単価480円。一致。 見積2行目: 特注品C 一式(図面D-2026-03、12営業日) → 注文書2行目「特注品C 1個」。単位が相違。 見積3行目: 梱包・輸送費 12,000円 → 注文書に記載なし。合計金額には含まれている。 支払条件: 見積は月末締め翌月末払い → 注文書は「検収月の翌々月10日」。相違。 納期: 見積は受注後12営業日(8月20日想定) → 注文書は「8月18日必着」。相違。 着手可否: 標準品Aのみ着手可。特注品Cは単位と納期の確認まで保留。
「一式」と「1個」の違いは、単価が同じなら金額に出ません。それでも、後から数量を問われたときに単位が根拠になります。着手可否を行単位で分けておくと、確認待ちの間も止まらずに済みます。
照会の文面は、相手の訂正手続きに合わせる
購買担当者は、注文書を出し直すために社内の承認を取ります。「違います」だけでは動けません。訂正後の文言をこちらから示します。
注文書番号 PO-26-0731 を拝受しました。ご発注ありがとうございます。標準品Aは記載どおりで手配を開始します。2点、注文書の記載と当社見積(Q-2026-0418)に差がありましたので、着手前にご確認をお願いします。1点目は特注品Cの数量で、当社見積は図面D-2026-03に基づく一式です。注文書の「1個」を「1式」へご訂正いただけますか。2点目は納期で、当社見積は受注後12営業日(8月20日)です。8月18日必着とのご指定に合わせる場合、図面確定を8月6日までにいただく必要があります。どちらの形で進めるか、8月6日15時までにご指示ください。
こちらの都合を並べず、相手が選べる二択にすると、購買担当者は上長へ相談しやすくなります。訂正が間に合わない場合も、指示待ちの期限を書いておけば、着手判断の責任が曖昧になりません。
同じ相手で二度続いたら、様式側を直す
同じ取引先で同じずれが繰り返される場合、担当者の注意では止まりません。見積側の書き方を変えます。
- 単位が変わるなら、見積の品名に「一式(図面番号)」まで書き、数量欄に「1」を置かない
- 納期が変わるなら、見積へ「受注後12営業日(8月20日想定・図面確定日が前提)」と括弧書きで残す
- 支払条件が変わるなら、見積の条件欄を注文書の記載順に合わせ、相手が転記しやすくする
見積の前提を最初から揃える手順は見積依頼を受けたときに聞く項目、外注へ同じずれを起こさない依頼の作り方は協力会社への見積依頼で渡す条件にあります。支払条件のずれが入金の遅れとして出てきた場合は、入金されない請求を照合の依頼に変えるで止まっている工程を切り分けてください。
直近で受け取った注文書を3枚選んでください。見積の行番号と突き合わせて、数量、仕様、納期、支払条件のうち一つでも空欄が残るなら、その案件は押印より先に照会する段階です。