となりの成長室

ネットショップに同じ問い合わせが続くとき、直すのは商品ページ

「届くのはいつですか」「他の色はありますか」「返品できますか」。返信テンプレートを整え、朝と夕方の二回まとめて返す運用にして、返信は速くなりました。それでも件数は減らず、繁忙期になると出荷のほうが止まります。

ここで多くの会社は「もう一人採る」か「チャットボットを入れる」を検討します。その前に見てほしいのは、来ている質問の中身です。同じ質問が毎週来るなら、それは対応能力の問題ではありません。ページが答えていない箇所の一覧が、毎週届いているということです。

返信を速くする改善は、どこで頭打ちになるか

問い合わせ対応の改善は、たいてい次の順で進みます。

  1. テンプレートを作る
  2. 返信の担当と時間帯を決める
  3. よくある質問ページを作る
  4. 自動応答を入れる

1から3までは効きます。ただしどれも「質問が来た後」を速くする手で、質問が起きる原因には触れていません。3のよくある質問ページも、商品ページから離れた場所にあると、購入直前の人はたどり着きません。読む場所が違うのです。

返信を速くする、の先へ問い合わせをページ修正へ変える流れ一週間分を性質で分け、足りない表示を特定し、直した項目ごとに再発を見ます。
01一週間分を出す件数順ではなく性質で並べる
02五つに仕分け表示不足、位置、不一致、相談、個別
03直す場所を書く商品ページ、確認画面、画像、チャネル別
04再発を見る総件数ではなく同じ質問が戻るかで判定

この図で決めること総数は売れれば増える。直した質問が戻らないかで効果を測る。

一週間分を、五つに仕分ける

まず、直近一週間の問い合わせを全部出します。件数の多い順に並べず、性質で分けます。

分類直す場所
表示が足りない送料、到着日、返品条件、支払方法商品ページと注文確認画面の表示
表示はあるが見つからない仕様は書いてあるが下部の表の中掲載位置と見出し
写真と文章が食い違う画像は3点セット、説明は単品画像と説明文、サムネイル
商品選びの相談サイズ選び、用途に合うか選び方の案内、比較表
個別事情配送日指定、法人請求、まとめ買い対応は残す。窓口を明示する

減らす対象は上の三つです。四つ目は減らさず、答えやすくします。五つ目は減らしません。ここを一緒に「問い合わせ削減」の目標に入れると、答えるべき相談まで潰しにいくことになります。

足りない表示は、法定の項目と重なっていることが多い

「表示が足りない」に分類した質問を並べると、通信販売の広告で表示が求められている項目とほぼ重なります。特定商取引法第11条は、通信販売の広告に、販売価格と送料、代金の支払時期と方法、商品の引渡時期、申込期間についての定め、契約の申込みの撤回または解除に関する事項、事業者の氏名・住所・電話番号などを表示することを求めています。

返品については、返品特約を定める場合、返品の可否、返品の期間などの条件、返品に係る費用負担の有無を省略できません。インターネット通信販売では、広告への表示に加えて、最終確認画面にも表示することが求められています。

つまり「返品できますか」「送料はいくらですか」「いつ届きますか」が繰り返し来るショップは、対応が遅いという話の前に、表示の抜けか、表示位置の問題を抱えている可能性があります。何をどこまで表示すべきかは、扱う商材や販売方法によって変わります。自社の表示が足りているかは、消費者庁の特定商取引法ガイドとガイドラインを確認し、判断に迷う点は専門家へ相談してください。

問い合わせから修正までを、一枚の表で追う

分類したら、質問を修正指示に変えます。「ページを見直す」で止めると、翌月も同じ表を作ることになります。

質問件数足りない表示直す場所担当確認日
いつ届くか11引渡時期商品ページ上部、カート、注文確認画面運営8月8日
返品できるか7返品特約商品ページと最終確認画面運営8月8日
送料はいくらか6送料価格の直下、モール側の設定運営8月10日
何個入りか5画像と説明の不一致1枚目の画像に個数を入れる撮影8月15日
どのサイズか4選び方の案内比較表を新設運営8月20日

自社サイトとモールで表示できる場所や設定項目が違うので、直す場所の欄は販売チャネルごとに分けます。1枚目の画像に個数を入れるといった修正は、モール側の画像規約に合うかを先に確かめてから進めます。

効果は総件数より、同じ質問の再発で見る

修正した翌週に総件数が減らないことはよくあります。売れた数が増えていれば件数も増えるからです。見るのは総数ではありません。直した質問が再発したかどうかです。

8月8日: 引渡時期を商品ページ上部と注文確認画面へ追加。 8月18日までの10日間: 「いつ届くか」は11件から2件へ。残る2件はいずれも注文後の追加確認だった。 8月18日: 「返品できるか」は7件から6件。最終確認画面には入れたが、商品ページ側は下部のままだった。掲載位置を上げて再確認する。

このように、直した項目ごとに再発を見ると、掲載したのに見つけられていないケースが分けられます。ここが分かると、次に手を入れるのは文章量ではありません。掲載位置と見出しです。

同じページでも「問い合わせが来ない」ほうが問題なら、サービス紹介ページが問い合わせにつながらない理由で、離脱している関門から見直します。海外からの問い合わせを製品や営業へ戻す流れは海外カスタマーサポートの問い合わせ共有、届いた声を販促の材料へ変える判断は顧客の声を営業資料へ使うが近い場面です。

参考資料

今週届いた問い合わせを、印刷するか一覧に貼り出してください。五つに仕分けたときに「表示が足りない」が3件以上あるなら、増やすのは返信の速さではありません。商品ページに書く一行です。

まずは相談から

問い合わせの中身を、ページの直し先へ変えませんか。

直近一週間の問い合わせ履歴と商品ページをお持ちください。どの質問がどの表示欄の不足から出ているかを分けて、直す順番を決めます。