となりの成長室

製造ラインの歩留まり低下を、現場要望と改善候補へ分ける

歩留まりが下がった。設備ログもある。検査結果もある。現場からは「ここを直してほしい」という声も出る。それでも会議で次に何を見るかが決まらないことがあります。

数字は原因を教えてくれるわけではありません。歩留まりの差を、工程、設備、材料、作業、検査、現場要望へ分け、次に確かめる改善候補へ変えます。

数字の差を、原因と決めつけない歩留まり差分の切り分け表歩留まり低下を、工程、設備、材料、作業、検査、現場要望へ分けます。
01工程どの工程で差が出たか固定する
02設備・材料停止、設定、材料ロットを並べる
03作業・検査段取り、標準、測定条件を見る
04改善候補現場要望を確認記録へ結び直す

この図で決めること現場要望と改善候補を分けると、次に確かめる記録が決まる。

まず、差が出た場所を固定する

全体の歩留まりだけを見ても、どこで差が出たかは分かりません。差分表では、比較する期間と対象をそろえます。

書くこと注意すること
対象製品、ライン、工程、ロット全体平均だけで見ない
比較期間先週、前月、同条件の過去ロット忙しさや品種構成の違いを混ぜない
差分良品率、不良種別、停止時間、再加工一つの数字で済ませない
影響出荷、納期、手直し、廃棄、顧客対応金額や責任を推測で書かない
次に見る記録設備、材料、作業、検査、環境確認先を決める

差が出た場所を固定しないまま改善案を出すと、現場の要望がそのまま対策になります。要望は大切ですが、差分と並べてから扱います。

現場要望と改善候補を分ける

現場の声は、改善候補そのものではありません。困っている事実、原因の見立て、ほしい変更を分けます。

現場の声分けて書くこと改善候補にする条件
設備が止まりやすい停止回数、停止時間、発生条件記録と再現条件がある
材料が前と違う気がする入荷ロット、保管、投入条件差が出たロットと重なる
検査が追いつかない検査点、待ち時間、再検査数待ちが歩留まりや納期へ影響する
手順が分かりにくい作業者、段取り、例外処理作業標準や教育へ戻せる

J-Net21は、日々の設備稼働や製品品質に関する管理数値を記録し、工程状態や異常の兆候を見る考え方を説明しています。IPAの製造装置監視のユースケースでも、製造装置の稼働状況や生産品の状態データを異常検出や品質向上へ活用する例が示されています。どちらも、数字を見た後に現場の確認と改善へ戻すことが前提です。

データ基盤の話にする前に、使う判断を決める

歩留まりや設備データの話は、すぐにシステムやデータ基盤の話になりがちです。しかし、最初に決めるのは「どの判断に使うか」です。

歩留まり差分の切り分け表 差分: A工程で再加工が増加。 事実: 特定ロットで停止時間が長い。 現場要望: 異常時の復旧手順を見えるようにしたい。 未確認: 材料ロット、設備設定、作業者変更。 次の確認: 3ロット分で、停止時間と不良種別を並べる。 改善候補: 復旧手順、材料確認、設備条件のどれを先に試すか次回会議で決める。

設備やデータを外部ネットワークへつなぐ場合は、データ利活用とセキュリティを分けずに検討する必要があります。IPAのICSクラウド導入資料でも、製造現場のデータ利活用とセキュリティ向上は両立が必要と説明されています。ここでは技術構成を決めず、まず現場で使う判断を固定します。

設備更新の相談へつなぐ場合は保守履歴から更新相談のサインを見つける方法へ、サンプル検査の記録は製造品質のサンプル確認へ、数字を会議で実験へ変える方法は営業KPI会議の考え方を製造向けに読み替えます。

参考資料

次の歩留まり会議では、数字の差を一つ選び、現場要望と改善候補を別の欄に書きます。原因を決める前に、次に確かめる記録と担当を決めます。

まずは相談から

歩留まりの差を、次に確かめる改善候補へ分けませんか。

工程、設備、材料、作業、検査、現場要望を並べ、次に見る差分と担当を決めます。