となりの成長室

不具合の連絡を受けた日に、社内で決めておくこと

「入れてもらった機械が朝から止まっている」という電話を受ける。担当者は現場へ向かい、電話口では「すぐ確認します」とだけ答える。夕方、顧客から二度目の電話が入る。今度は先方の上長からで、「いつ直るのか、代わりの手当てはどうするのか」と聞かれます。

一次対応が苦しくなるのは、原因が分からないからではありません。原因が分かるまでの間、相手が社内で説明できる材料を渡していないからです。

当日に確認するのは、原因より先に四つの区分

原因究明は数日かかることがあります。当日に埋めるのは別の四つです。

区分当日に確認すること確認できないときの扱い
事実いつ、どの号機・どの箇所で、どんな症状が出たか。写真や測定値があるか相手の表現をそのまま記録し、こちらの推測と混ぜない
影響生産や工事が止まっているか、代替手段があるか、いつまでに戻す必要があるか「急ぎ」で受けず、止まると困る日時を聞く
応急対応当日できる手当て、部品の在庫、訪問可能な時間できないことを先に伝え、代替案を一つ出す
回答期限原因の見通しをいつ返すか、誰へ返すか調査完了日を約束せず、次の連絡日時を置く

「原因が分かってから連絡します」は、相手の社内で最も使いにくい返事です。相手も上長や取引先へ説明する必要があり、その材料が要ります。

原因が分かる前に返す不具合連絡の当日に埋める四区分事実、影響、応急対応、回答期限を分け、相手が社内で説明できる材料を先に渡します。
01事実相手の表現のまま記録する
02影響止まると困る日時を聞く
03応急対応できることとできないことを分ける
04回答期限調査完了日ではなく次の連絡日時

この図で決めること推測と事実を混ぜて書くと、後から責任範囲を追えなくなる。

受付票を、電話中に埋める

対応が担当者の記憶に残ると、二度目の電話に別の人が出られません。電話を受けながら埋める欄を決めておきます。

不具合受付票 2026-08-04-01 受付: 8月4日 8時40分、電話、先方は製造課の現場責任者。 対象: 2026年3月納入の搬送コンベア(号機B-2)。 症状(相手の表現): 「朝の立ち上げから2分ほどで停止し、エラーが出る」。エラー番号は未確認。 影響: 当該ラインが停止中。代替ラインで半分は流せる。本日15時までに戻れば当日出荷に間に合う。 応急対応: 10時に担当が訪問可能。制御基板の予備在庫あり、駆動部の予備はなし。 こちらの未確認: エラー番号、停止直前の稼働条件、直近の点検日。 一次回答の期限: 8月4日10時30分(訪問後)。相手側の連絡先は製造課責任者と購買課。 二次回答の期限: 8月5日15時(原因の見通し)。

「相手の表現」と「こちらの未確認」を分けて書くのが要点です。混ぜて書くと、後から原因が別だと分かったときに、どこが推測だったかを追えません。

一次回答は、分かっていないことを先に書く

訪問後の一次回答では、原因を断定しない代わりに、判断に必要な情報を並べます。

本日10時に現地で確認しました。現時点で分かっていることと、まだ分からないことをお伝えします。分かっていること。停止はB-2号機の駆動部で発生しており、制御側のエラー表示は過負荷を示していました。手動で回した際に軸の重さを確認しています。分からないこと。過負荷の原因が軸受の摩耗か、搬送物の噛み込みかは、分解しないと判断できません。本日の対応。予備の制御基板は交換せず、駆動部の負荷を下げた設定で暫定稼働できる状態にしました。通常の8割の速度です。次のご連絡。分解確認の可否を明日15時までにご連絡します。分解する場合、部品の手配を含めて3営業日いただく見込みです。

謝罪の言葉を重ねるより、暫定稼働の条件と次の連絡日時を書く方が、相手は社内で予定を組めます。原因が自社側にあると確定していない段階で責任の範囲を確約しないことも、後の協議のために必要です。

三日以内に、記録を営業側へ戻す

不具合対応は現場で完結しがちですが、次の提案材料はここにあります。

  • 同じ号機・同じ部位で二度目なら、更新や予備品の提案対象として営業へ渡す
  • 使い方の想定と実際の稼働条件がずれていたなら、次回の見積条件へ反映する
  • 対応の速さが評価された場合は、保守契約の相談時期として記録する

顧客からの要望を対応後に社内へ戻す形は顧客からの要望と改善依頼を残す方法、製造側で判定条件を残す形は製造品質のサンプル確認で分けることにあります。納入後に定期的な確認を入れて不具合の連絡を待たない形へ変えるなら、設備や機械の納入後に聞くことを併せて見てください。

直近で受けた不具合の連絡を1件思い出してください。事実、影響、応急対応、回答期限のうち、記録として残っているのが「事実」だけなら、次の一件から受付票を先に置く段階です。

まずは相談から

不具合の一次回答を、当日のうちに形にしませんか。

直近で対応した不具合を1件お持ちください。当日に確認する項目と、相手が社内で使える一次回答の形まで一緒に作ります。